新生DREAM

傷痕

DREAM de お題

須堂さくら 作

 すぅ、と寝息を立てる若菜を見て、時雨は息を吐く。
 昼に彼女を見つけたときは、本当に驚いた。
 まるで生気のない表情。自分の目の前、事切れた死人に良く似たそれに、胸が騒いだ。
 何かがあったと、すぐに分かった。
 自分に向けられる、不安げな瞳を、本気で心配した。
 救ってやりたいと、そう思った。
 どうしてそう思うのか、自分にも良くは分からない。

 手渡された写真に写る幼い彼女の笑顔
。  たまに見せてくれるそんな笑顔を愛しく思う自分なんて、知らなかった。
 欲しいと思う自分なんて、知らなかった。
 それを疑問に思っても、あるのはそんな気持ちにさせる女性だけ。
 理由なんて、考えても分からない。
 分かるのは、ただ、彼女のそばが心地よいと感じる自分の心だけだった。

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