新生DREAM

The day after(あの日から)

DREAM de お題

須堂さくら 作

「そういえば、紹介がまだだったわね。私は若菜の母で、葉月といいます」
「…時雨と…」
「時雨君?そう、娘をよろしくね」
 先ほどの白緋と全く同じことを言って若菜を赤面させた後、彼女は首を傾げる。
「それで、あなたは、何をしてる人なの?」
「お母さん?」
「あぁ、変な意味じゃなくって。何だか、不思議な気配のする人だと思って」
 苦笑した葉月に時雨は首を傾げただけで答えた。
「……軍に」
「軍隊…。…そうなの、道理で」
「時雨といったら…」
「お祖父ちゃん」
 何かを察したらしい祖父を制して、若菜はお茶を注ぎ分ける。
 その様子を横で見ながら、茜はくすくすと笑った。
「良かったじゃない」
 幸せが、続くのっていいことよね。
 小さく呟いた声は、誰にも聞かれずに消えた。

 夕方に迎えの車がやってきた。
「それじゃあ、葉月、帰るぞ」
「あぁ、そうね。…若菜、帰りたくなったらいつでもいらっしゃい。もう遠慮の必要はないのよ」
 言って笑った母親に、若菜は微笑む。
「はい」
「出来たらこっちで暮らしたら、って言いたいけど、そういうのは時雨君に任せておくわ。いつでもいいからね」
「…お母さん」
「はいはいごめんなさいね。…義姉さん、今日はありがとう」
「いいえ。また遊びにいらっしゃい」
 ひらひらと手を振って、二人の乗った車が消えるまで見送る。
 はー、疲れたわねー。などと言いながら家に戻るリアをくすりと笑って若菜は時雨を向いた。
「今日はお世話になりました」
「…いいえ。良かったですね」
「……はい」
 にっこりと笑って、彼女は言う。
「…ところで、さっきの」
「さっきの?」
「葉月さんの言葉ですが…」
 首を傾げて時雨が言い、若菜は顔を赤くした。
「あ、あれは、多分そんなに意味は…」
「…考えておいて下さい」
「えっ?」
 真面目な声に、彼女はますます頬を染める。
「…寂しいと感じるのは、僕だけでしょうか」
「そ、それは…」
 早く会いたいと、ずっと一緒にいたいと、そう思う気持ちは、確かに強い。
 けれど…。
「いいんじゃない?」
 後ろからの声に、驚いて若菜は振り返った。
「ごめんね、聞くつもりはなかったんだけど」
「伯母さん…」
「私は反対はしないわよ。多分葉月ちゃんもね。…危険なお仕事だもの。まぁ、時雨君はうちの旦那とは比べ物にならないくらい強いけど。好きなんだったら、一緒にいたいわ」
 言って、にこりと笑う。
「家のことは気にしなくっていいから。あなたの思うようにやりなさい」
 じゃ、戻ってるわね、と彼女は再び家の中へと戻る。どうやら先程は呼びに来ていたところだったらしい。
 若菜は困ったような表情で時雨を見た。
「…私」
 目を伏せて逡巡する。
「……私で、良ければ。…でも」
「…?」
「…死んだりなんて、しないで下さい」
 強い瞳に、時雨は頷いて微笑んだ。

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2004/11/07 公開

~あとがき~
と書いて言い訳と読むー。
長くなりすぎたー。まーいーけどー。
当初の予定だったキスシーン入れ損ねたー。まーいーけどー。
何でか同棲することにー。まーいーけどー。
…いいんかい!
これが限界だったみたいです。
キスシーンは、まぁ、入ればっていうのだったからいいし。
私プラトニックの方が得意だからしょうがないよねー。
長くなったのは、そんだけ詰め込んだからだし。
母親ネタの伏線拾うついでに伯母さんも描きたくなって、そんなん。
同棲は…何でだろう。
葉月ちゃんと時雨君の暴走?それにリアちゃんが便乗しちゃったのねー。
ていうか葉月ちゃん心の傷はどうなったのかしらねー。
まーいーかー。(良くない)
そーいや、この回から若菜さんは「君」付けになります。
誰をって、時雨君を。
そんだけ親密になったのねー。
あー、なんてまとまりのない文章。
まーしょうがないけどね。私だし(オイ)