新生DREAM

星空デート

DREAM de お題

河崎玲 作

 窓の外…一面に散らばる星達はずっと見守っているよ?
 貴方達が迷わぬよう、進むべき道を照らし、教えてくれる
 そして
 いつかは幸せを運んでくるよ

「幸せを運んでくれる…かぁ。私のところにはいつ来るんだろう…」
 小春は木の幹に背を預け、空を見上げていた。
 空には幾千万もの星々が瞬いている。
 一つ一つの星達は自分が一番輝いているのだとでも言うかのようにキラキラと光を放つ。
 小春はその星達に向けて手を伸ばした。
 伸ばした手は決して星を掴めない。
 彼女はそれを分かっていながら手を伸ばす。
「あとちょっと…あともうちょっとで手が届きそうなのに…」
「小春ちゃん?」
 唐突に近くから声がした。
 一瞬反射的に小春は身構える。
 声の方を向く。
「どこに行っちゃったかと思ったらここだったんだね」
 安堵したかのようにその声は言った。
 小春のすぐそばに立っていたのは紅葉だった。
「うん、星がね…綺麗だったから」
 小春はにこりと微笑むと紅葉に向けていった。
 紅葉は微笑み返すと小春の横に腰を下ろす。
 小春は横に座った紅葉の手を握るとまた空に視線を戻した。
 それに習うかのように紅葉も空を見上げる。
 目の前が、
 空一面が星の海。
 紅葉はふっと溜め息をつく。
「すごくきれいだね…」
 小春はなんだか嬉しくなって微笑んだ。
 自分と同じように紅葉も星空を綺麗だと感じている…
 そう考えるとなんだか嬉しくなってしまったのだ。
「私ね、星が綺麗な時にはいつもここに見に来るの」
 小春は星を見つめながら言った。
 紅葉が声をかけた時のように、また空に手を伸ばす。
「こうしてると、お星様に手が届きそうでしょう?お星様の近くに居る。そんな感じがするこの場所が大好きなの」
「うん」
 紅葉は小春の気持ちが分かる気がして頷いた。
 それから二人は何を話すともなく星を眺めていた。

 暫くの沈黙を終わらせたのは小春だった。
「あっ!」
 紅葉も感嘆の声を出す。
「わぁ…!」
 二人の眺める先に一筋の星が走る。
「「流れ星!!」」
 声が重なった。
 二人は自然と顔を見合わせて笑う。
「私、お願い事言いそびれちゃった」
 小春は笑いを含んだ声で言った。
「ボクは言えたよ?」
 笑う紅葉の瞳が悪戯っぽく輝く。
「え?えぇ~!ずるいよ紅葉くん!!」
 小春はむぅっと膨れて見せた。
「あっ、何お願いしたの?」
 小春は紅葉の目を覗き込むと言った。
「知りたい?小春ちゃん」
 紅葉はくすくすと笑いながら小春に聞く。
「うん、うん!知りたい!!」
 小春は紅葉に詰め寄る。
「ダメ?紅葉くん」
 紅葉はう~んと少し考えてみせる。
 どうしようという顔をしている。
「まだ秘密v小春ちゃん、そろそろ帰ろ?」
 紅葉は小春の頬に軽くキスしてぐいっと手を引いた。

 二人は手を繋いだままで、小春の部屋の前に来ていた。
 歩いている間中小春は紅葉に願い事を教えてもらおうと頑張っていたのだがもう時間切れのようだ。
「もぅ、どうしても教えてくれないの?」
 小春は唇を尖らせて紅葉に言った。
 紅葉はふっと微笑む。
「どうだろうね?」
「もぉ」
 小春はさらに唇を尖らせる。
「じゃぁまた明日ね?小春ちゃん」
 紅葉は言った。
「うん、また明日」
 小春は名残惜しそうに紅葉の手を離す。
「                」
 紅葉は小春の耳元で何かを囁くと、唇にキスをして小春から離れた。
「~~~~~~~~~~~~!!!」
 小春は真っ赤になっている。
 くすっと紅葉は笑って小春から離れる。
「お休み、小春ちゃん♪また今日みたいにデートしようね?」
 小春はさらに顔を赤くした。

『小春と幸せになれますように』そうお願いしたんだよ?

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2004/10/15 公開

紅葉×小春…暗いようなほのぼのなような…
なんか微妙な作品になってしまいました。
これってデートか?って感じで(苦笑)
許してやってください

おまけ