新生DREAM

なんでもない日常

DREAM de お題

須堂さくら 作

「ケイ!お疲れさま!もう終わり?」
 パタパタと駆けて行くと、ケイはにっこりと笑ってくれた。
「あぁ、後の事は任せてきたから」
「じゃあ、早く着替えて、お散歩しよ?」
 今日はうちの小国で式典があって、王女の私はもちろん、国騎士のケイにも臨席してくれるようにってお願いされたの。
 ケイは当然、警備が主な仕事なんだけどね。
 ケイが頷いたのを確認して、私は彼の腕を取って自分の部屋へ向う。
 今日のドレスはオレンジ色。うん、結構好きな色だわ。
 それに色々と小物がついて結構重い。
 一人でなんて絶対脱げない服を、ケイに手伝ってもらって脱いだ後、私は何となく暇になった。
 それでボーっと彼の着替えを眺めていたんだけど…。
「結構いっぱい着てるのねー」
「あぁ、まぁ式典用だからな。でもそんなには重くないし、動きやすいよ」
「ふぅん、考えてるのね」
 かっちりとして見えるけど、やっぱり動きにくかったら困るものね。私たちとは違うんだから。
「あ、ねー、着てみてもいい?」
「え?」
「上着だけー」
 思い付きを口にすると、ケイは首を傾げてみせる。
 私よりも随分大きい彼だけど、こういう仕草も似合っちゃうから困るわね。
「ダメ?」
「いや…、まぁ、いいけど」
 肯定の返事に私はにっこりと笑う。
 善は急げ(違う?)で、早速脱いで置いてあった上着を手に取った。
 これが飾りが色々ついて中々複雑。
「んー?これがどうなのかなぁ…」
 よくこんなのが一人で脱ぎ着できるわねー。
 なんて思いながら色々試していると、ある程度着替え終わったケイが手を貸してくれた。
「ありがと」
「いや…」
 カチカチとボタンが留まっていく。
「おっきいね」
 当然のことながら袖も丈も長くて、肩幅だっておっきい。
 うん。体型の差が良く分かるわね。
「ケイの匂いがするー」
「汗臭くないか?」
「んーん、いい匂い。好きー」
 好きな人の匂いなら汗臭くたって構わないし、ケイの匂いってホントにいい匂いなんだけど。この気持ちってそんなに理解してもらえないみたい。
 あ、だけど、この前私の唯一の弟子は「安心します」なんて言っていたっけ。
「アリア」
 呼ばれて顔を上げる。
 ケイの柔らかい声は、やっぱり大好き。
「なぁに?」
 ふわりとケイの膝に乗って尋ねると、さらりと髪を撫でられる。
 目を閉じれば、そっと口付けが降ってきて、幸せな気分になった。
「ん…。ふふ、なぁに?突然」
「気分…かな」
 うん。幸せ。
 口には出さないでそう思って、私は彼に抱きつく。
 それだけで通じるって、知ってるんだもの。
 ふんわりと私の背中に回ってきた腕に力が込められる。
「んー」
 計画を変更しましょう?
 お散歩はいつだって出来るし、どうせ明日からはまた旅に出るんだもの。
 ゆっくりあなたと過ごすのも…きっととっても幸せだから。

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2005/02/27 公開

あははは。ようやくこの2人が書けました。
こんな形でも作品として出しとかないとちょっとあれで。
えぇと、まぁ一応最初なので説明をば。
アリアちゃんは某小国(「しょうごく」と読みます)の王女様。
えーと、県知事さんの娘みたいなもんです。州知事とかの方がいいだろうか…。
それでもって、若菜ちゃんの魔術の師匠です。以上。
ケイくんはその小国の国騎士、でした。あー、正確には今もそうなんですがまぁその辺はどうにでもなれ。
それでもって、飛鳥くんの剣の師匠です。以上。
詳しくはこの後の物語で。
人物紹介とあんまり変わらない紹介ですがね…。