河崎玲 作
小春には結構前から気になっていた事がある。
それは今目の前で喧嘩をしている二人。飛鳥と茜の関係の事だ。
自分と紅葉のように、目の前にいる二人はとても仲がいい。
の割には付き合っていると言う気配は無い。
だからといってただの友達と言うわけでもないようだ。
友達と言うよりも仲間といった方が合っているのかもしれない、と小春は考えながら溜め息をつく。
今の目の前の二人がしているのは他愛無い喧嘩。
俗に言う痴話喧嘩というものだ。
そんなことをいったら、口を揃えて違うと言いそうだなと小春は笑う。
「何笑ってるの?小春ちゃん」
いきなり後ろから声が掛けられる。
自分を小春ちゃんと呼ぶのは近くには紅葉しかいない。
「えっとね…」
小春は振り向いて紅葉の姿を認めると言った。
「あの二人、本当に仲がいいなぁって思ってね」
紅葉は口喧嘩を続けている二人を見ると微笑んだ。
「確かにね…ボクらから見れば恋人同士なのにね」
それを言っても二人は否定するんだろうねと紅葉は笑う。
「あれ?」
ふと二人の喧嘩が止まる。
見てみると茜の顔がほのかに赤い。
それにつられるかのように飛鳥の顔も赤くなる。
「恋人同士になるのも…」
「時間の問題かもしれないね」
小春の言葉を紅葉が引き継ぎ二人は顔を見合わせる。
二人はそっと顔を近づけて、額がくっつくくらいの距離になると声をひそめる。
「いっそのこと二人でくっつけちゃわない?」
笑いながら小春が言う。
「そうだね、何かいい方法ないかな」
紅葉も笑う。
「二人にも幸せになって欲しいもんね」
小春が言うと紅葉はうんっと頷く。
「二人が恋人同士になるのも運命だって思わない?」
紅葉はにこっと笑うと小春の耳元に顔を近づける。
「ボクたちみたいにね」
紅葉は元の場所に体制を戻すとにこっと無邪気な顔で笑う。
「もう!!」
むぅっと頬を膨らませる顔が熱いのはきっと彼女の気のせいではないのだろう。
05/02/05 公開
あとがきという言い逃れ
.............何なんでしょうかこの馬鹿カップルぶり(汗)
飛鳥達も飛鳥たちですが、紅葉たちも紅葉達です。
思いつきで書いてしまった私が悪いのです。
恐らくこれは、飛鳥の誕生日編の数日後辺りではないでしょうか…
多分でしかないんですけどね(苦笑)
ココまでお付き合いいただきありがとうございました!
2005.02.01.
河﨑玲拝